基本部材の加工には A:硬質塩化ビニール板の利用とB:厚紙をレジン処理で硬化処理するのふたつの方法があります。
Aの硬質塩化ビニール板を使った場合は、材料も少なく作業も簡単ですが、つなぎの部分にすき間ができたり、微妙な曲線の加工ができないない等の難点があります。
Bの厚紙をレジンで硬化処理する場合は、材料等が多く手間がかかりますが、微妙な曲線等の加工が可能です。
型紙や定規にあわせ、ユニポスカで線を書き込みます。
はさみで切ります。
穴をあける位置にマーカーで印をつけます。
板に置いて、ドリルで穴をあけます。新聞紙や雑誌等の上では穴が歪みます。
▼ 適正な穴径のイメージです。
穴があいたら、お湯でゆっくりと曲げます。
甲冑の兜のしころや袖、草摺などの板部材の上部は、強度確保と擦れた紐が傷まないように先端2mm程度が曲げてあるので、この表現加工を行います。
硬質塩化ビニール板は曲げられないので、上端部に1mmのコードを瞬間接着材で接着し、パテで埋めてサンドペーパーで平滑になるよう磨きます。
裏面につや消しのスプレー塗料を吹き付けます。
厚紙に液体レジンの浸透処理を行うと、プラスチックのように適度な柔軟性を持った硬化ができます(画像はウェーブレジンキャストEXです)。
紙の部材は、型紙などにあわせて切り抜き、木工ボンドで張り合わせます。
張り合わせた端部が開いていれば、液体瞬間で補強します。
使い捨てのプラスチックカップに液体レジンのA液とB液を等量に入れてよくかき混ぜます。
整形した部材の裏表に、大きめの古い筆等でレジンの混合液を刷り込むように塗ります。
レジンが硬化したら、#240~400番のサンドペーパーで表面を削ってなめらかにします。
▼ 適正な穴径のイメージです。
レジン処理する部材の端部加工の方法や人工漆の塗装方法等は手づくり甲冑/翔の製作記を参考にしてください。
レジン処理を行わない厚紙等の部材は、そのまま塗装すると塗料が浸透するので、サンディングシーラーを塗り、サンドペーパーで磨いてから塗装します。
板材を威糸で縫うことを「威す」(おどす)と言い、この組み合わせは「下段の板が手前」が基本です。
上の例外として、膝を守る佩楯(はいだて)だけは「下段の板が後ろ」となります。
平紐を「威糸」と言います。また、威糸を穴に通して縫うことを「威す」と言いますが、これは「緒を通す」が語源だと言われています。
こちらは「毛引威」と呼ばれる全面的な威し方を表現したものです(手づくり甲冑「雲」)。
胴と草摺も威糸でつなぎます。この威を「揺」(ゆるぎ)と言います。
当世具足に絵革はあまり使われませんが、使うときには、正しい絵柄を使います。
絵革の絵柄はこちらからダウンロードし、ペイントソフトなどで合成します。
百円ショップ等で入手できる「おゆまる」等のお湯で軟化する素材で他の甲冑の部品/部材などから型を取り、レジンを流し込んで硬化させると、簡単に複製ができます。
Anthony J. Bryant氏が公開されているWebサイト An Online Japanese Armour Manual がすばらしい内容なので、参考にさせていただいてください。