丹波地方、特に亀岡市の水田でよく見かけるこの木は、刈り取った稲を架けて乾燥させる稲木と呼ばれるハンノキです。
ところで、このハンノキの植わっているところのほとんどが、畦際や水路脇です。
つまり、高地の湿地に自生する白樺と同じカバノキ属に属し、水辺を好んで強い根を張るハンノキの性質に着目した丹波の人たちが、稲木とあわせ「自然の護岸」として計画的に植えてきたのです。
さらに、休憩時には日影になり、硬い木は燃料にもなり、年貢の重圧から逃れるために広い農地を狭く見せる役割もあったと言われています。
ハンノキが水辺を好むことを知っている「知識」だけでは何の役にも立ちません。丹波の人たちは、その知識を役立つものとして活かしてきました。それが「知恵」です。
多くの情報のなかで何でも知っていると自負しがちな私たちですが、大切なのはこうした情報や知識を整理し、応用して工夫することこそが大切な「知恵」だということを、丹波/亀岡のハンノキは語りかけているようです。
画像は、亀岡市大井町のハンノキです。