ちょっとおかしな手づくり甲冑
気をつけよう 特殊詐欺とおかしな甲冑
- 私の手づくり甲冑の反省を踏まえ、武将クラスが着用した当世具足(戦国甲冑)を前提の「おかしな甲冑」のまとめです。
- 「ややこしいことはいい!」とお考えの方や「どーでもええ講釈はいらん!」とおっしゃる方はパスしてください。また、一部に私見や「思い込み」を含む部分もありますので、あらかじめご承知を
兜の家紋の立物や胴の家紋
- 兜の家紋の立物
- 兜を頂く甲冑を着用できたのは中級以上の武将で、これら武将は馬に跨って先陣を切り、命を懸けて敵と相まみえました。
そして、敵の武将の首をとる等の戦果は、そのまま恩賞につながるので、混乱の戦場で「誰」がわかる印が必要でした。
その印が兜の前立て等「立物」で、所属する大名家等を示す「家紋」は背の「旗印」で示しました。
- よって、兜の立物に家紋を小さくあしらったデザインのものはあっても、家紋そのものをデカデカと立物にすることはありません。
- さらに、平安~室町時代前期に主流であった「鍬形」も、武将個人を特定できないため、戦国期には廃れ、神仏や縁起をデザインした立物へと変化しました。
こうしたことから、兜の立物は独特のデザインや神仏などの縁起に関連したものが普通(?!)です。
- 画像は、ちょっとおかしな私の前立と手づくりではない(!)イベントでのちょっとおかしな前立です。
- 胴の家紋
- 一方、自らが属する大名家等を示すのは背の「旗印」であり、武将クラスが着用する甲冑の前胴に大きな家紋を描くことはありませんでした。
前胴に大きな家紋を描いていたのは、大名が大量につくって保管し、足軽に貸し与えていた「御貸具足」と呼ばれる簡易甲冑です。
なので、ど~んと大きな家紋を描いた前胴と兜の組み合わせは、どこかの足軽が、果てた落ち武者の兜を盗んでかぶっている(!)スタイルかも
- つまり・・・
- つまり、武将の甲冑と足軽の具足のイメージは、図のようになりますが、佩楯も武将の象徴とされましたから、忘れず装備したいですね。
上下揃った菱縫
- 部材の下端部に✕が連なった「菱縫」と呼ばれる威しがあります。
これは、古式鎧などの小札をつなぐ構造のとき、下の端部がバラバラにならないように固定する威しです。
よって、当世具足などの板部材では、この「菱縫」は不必要なのですが、見た目の価値を高める装飾目的で施されることがあります。
この場合、小札威に準じて、1段の場合は手前が「左上から右下」、2段の場合は上段の手前が「左上から右下」で、下段の手前が「右上から左下」です。
2段の場合、上段と下段が同じ方向に上下揃っているのは「おかしい」のです。
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板部材の先端が直線
- 当世具足などの各板部材の上部は、外側にわずかに曲げてあります。
これは、脅し糸が板部材の先端に擦れて痛むことを防ぐための加工です。
一方、最下段の部材の下部も、外側に向けて大きな曲げ加工が施してありますが、先端が引っかからないための加工です。
管理人が作った甲冑のうち、このことを知らなかった初期の作では、この加工を行っていませんが、加工の無い「切りっぱなし」は、カレー粉の入っていないカレーみたいかも。
左右対称の佩楯
- 手づくり甲冑では、膝を守る「佩楯」がつくられなかったり、ペラペラの一枚布の佩楯を見かけることがありますが、ちゃんとつくりたいですね。
なお、佩楯の板部材の並びは左右対称ではなく、左右とも「左が上」で、また、部材は全面的に家地に縫い付けて固定するのではなく、柔軟になるよう固定するのが正しいので注意を!
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「和風」柄の絵革
- 絵革は、大鎧等で弓を引くときに弦が威紐などにひっかからないように威された紐の上に貼ったもので、板部材等では必要がないものの、装飾的な意味合いで使われることがあります。
手づくり甲冑では、この絵革に着物などの「和風」の柄の布が使われることがありますが本来の絵革の柄を使いましょう。
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房
- 房など(!)何の意味も役割もありません。単なる装飾の代表(と思っています
- 私も最初は取り付けていましたが、甲冑ごと処分しました
お面頬
- タイトルの「お面頬」とは、100均などで売ってあるセルロイドの「お面」を切って「面頬」としたモノです。
- 甲冑全体がすばらしくても、ペラペラのお面頬で全体のクオリティが下がりますのでご注意を!
龍の爪
- 甲冑には、龍の絵や彫り物がつかわれることがありますが、雑学的な龍の爪の本数のお話。
龍は中国が発祥で、皇帝のシンボルとされ、爪の数は5本。
朝鮮半島文化圏での龍の爪の数は4本。
日本の龍の爪の数は3本だそう。
- 画像上は、私が最初の手づくり甲冑に貼って(!)いた龍のシールですが、爪の数が4本で、朝鮮半島文化圏のようなので、甲冑ごと処分しました。
- 一方、画像下は、自分で描いた日本の龍。爪は3本です
蝶結び
- 兜の蝶結びは✕です
兜の後がなにか引っかかったり、敵に後ろから兜をひっぱられると首が締まってしまい、絞首刑状態(!)になります。
兜の緒は、ちゃんと締めましょう。
地下足袋
- 足もとは足袋+わらじがふつうです。
江戸時代以前にはゴム底の足袋などはありませんから、地下足袋では、足袋の「土足」(!)になってしまいます。
わらじを履くか、わらじは消耗が激しいので、わらじに見立てた足元にしましょう。
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武者「行列」
- 兜を頂く中級以上の武将は、馬に跨り、まわりを足軽等が防衛して移動するのが基本で、たくさんの武将がぞろぞろと連なって歩くことは、まずあり得ません。
まして、大将クラスが陣地で軍を指揮するときに羽織る陣羽織を着用し、多くの高級武将が連なってヘンですね。
「武者行列」とは現代の造語で、これって甲冑のお披露行列か仮装行列、あるいはコスプレ集団なんですね。
余計なお世話の話でスミマセン
武将鉄砲隊
- 火縄銃が普及した戦国時代、遠方の敵を攻撃するにあたっては、足軽クラスが軽装で火縄銃を発射していました(画像下)
よって、兜を頂くような位の高い武将が、発射の指揮を行ったとしても武将が一列にならんで火縄銃を発射するなど考えられない光景です。
ちなみに、甲冑に陣羽織を羽織り、一列にならんで火縄銃行っておられる鉄砲隊を拝見したことがありますが、さすがに唖然としました。
これも余計なお世話の話でスミマセン
まちがいだらけの手づくり甲冑
- これは、私が始めてつくったまちがいだらけの手づくり甲冑です。
一見した全体のシルエットや浅い兜鉢と横に広がった兜のしころ、大きな吹き替えし、くびれの無い胴と大きな袖などは平安時代の大鎧のイメージです。
ところが、威は当世具足の素掛威で、必要の無い菱縫を施しています。
胴は、一枚の鉄板を打ち出した特殊な仏胴で、ここに貼った安っぽいシールの龍の爪は4本で、朝鮮半島文化圏のもの(ネット通販で10,000円もしました!)。
また、胸の部分の意味の無い房やしめ縄(!)のように太い腰紐は、五月人形そのもの等、おかしなところを数えたらキリがありません。
- 甲冑教室で教えていただくままに取り組み、制作の基礎を学びましたが、すでに処分し、ごみ焼却場の灰になりました
ちょっとマシな手づくり甲冑
- こちらは、私の常用のちょっとマシな(と自分で勝手に思っている ^^)手づくり甲冑です。人物はかなりおかしいですが・・・(^○^)
「中級の下」クラスの武将の甲冑をイメージしました。
不要な装飾等は一切省き、塗装も威糸も甲冑の下に羽織る直垂も「黒」です。
佩楯の龍は筆での手描きです。
面具は半頬です。面頬の垂では胸の部分に隙間ができるので、喉輪を加えています。
火縄銃は、馬上で放つ短い馬上筒(模造銃)です。馬はいずれ